天然なあたしは悪MANに恋をする
「執事喫茶ぁ?」

駅から学校に向かう道中に、あたしは大きな声をあげた

レンが、慌ててあたしの口を押さえる

「でかい声を出すなってっつたろ」

「あ…ごめ。だってレンが?」

「だから言いたくねえって言ったんだよ」

レンが頬を赤らめながら、鼻頭をポリポリと掻いた

「なんか……似合わない」

「うるせえよ」

レンが恥ずかしそうに視線を遠くにする

「なんで?」

「優香って女がいただろ。あれは、世話になった先輩の姉貴なんだよ。んで、赤の中で執事にするバイトを何人か引き抜かれたっていうか…無理やりバイトをやらされたっていうか…」

レンが、後頭部をガシガシと掻いた

「ああ、ほんとに言うつもりはなかったんだよっ。ぜってー、知られたくねえって」

「レンってギャップがありすぎる…」

「あ?」

「ううん」

あたしは首を左右に振ると、前を向いた

昨日の映像が、蘇る

ここをもう少しまっすぐ歩けば、青族に拉致された場所にたどりつく

そう思ったら、あたしの足がぴたっと止まった

「ミズ?」

急に立ち止まったあたしにレンが、振り返った

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