天然なあたしは悪MANに恋をする
新聞部な二人
休み時間になるなり、あたしは新聞部の掲示板へと急いだ

どんな記事の内容なのか気になって仕方がなかったから

小走りで廊下を走り抜けると、新聞部の部室の前にある掲示板で足をとめた

B4の用紙が、掲示板にたくさん貼り出されている

みんな違う記事の内容で、右上に新聞の号数が表示されていた

あたしは一番新しい記事を探すと、そこで目をとめた

『青族に女子生徒が狙われる』

新聞のタイトルには、そう大きく書かれてあった

3年のナデシコ先輩とあたしが青族に連れ去られた内容が書かれある

どうやって助けられたのか…までは詳しく書かれていないけれど、青族のたまり場に赤族が乱入し、大げんかになったと書いてあった

どうして?

まるで、あの現場の近くに居て、赤族が入って行ったのを見ていたみたいな書き方をしてる

どこかで見ていたの?

昨日の出来事を…遠くから見ていて、この記事を書いたの?

あたしは新聞に背を向けると、ガラっと部室の扉が開いた

あたしは開かれた扉の音に驚いて、振り返った

新聞部から出てきたのは、一眼レフを首から下げている男子生徒だった

男子生徒が、あたしに気がつくと、縁ナシの眼鏡を押し上げて口元を緩めた

「妃木 瑞那さんですよね?」

「…は、はい」

「初めまして。我は小島 吉です」

「初めまして」

小島君が差し出した手をじっと見るだけで、握手はしなかった

なんか眼鏡の奥で黒光りする瞳が、怖くて…親しくなれないって気がした

親しくしたら、見事に裏切られる…そんな気分にさせる人だった

「この新聞、貴方が書いたんですか?」

「いえ。我は、カメラ担当ですから」

赤族たちのバイクをバックに撮ってある写真にあたしは目を移動させた

この写真を、目の前にいる男が撮ったのかと思うと、なんだか怒りがこみ上げてくる

当事者の苦しみを知らずに、きっとこれはスクープになるって大喜びしながらカメラシャッターをきったのかと思うと、なんか悔しかった

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