天然なあたしは悪MANに恋をする
「良くねえだろ」

レンが小さな声で言うと、あたしの肩を抱き寄せた

「でさ…なんで喧嘩を売ったのぉ?」

あたしとレンの間に割って入ってきた満沢さんが、レンの隣を陣取ると興味津津な顔をレンに近づけた

レンがぎょっと目を開くと、背中をそり返した

満沢さんに弾き飛ばされたあたしは、廊下の壁に軽く肩をぶつけると、数メートル先で足をとめたレンと満沢さんを眺めた

「何なんだよ、あんたっ!」

レンが不機嫌な声をあげて、レンの腕に絡みつく満沢さんを突き放そうとする

なのに、満沢さんが離れる気配が一向にない

「だから、気になるのよ! なんで喧嘩を売ったのか…とうか、売られた喧嘩を買ったのかって言ったほうが正しいのかな? ま、どっちでもいいけどぉ。どうして立宮 景と対立しようと思ったのか…が気になって気になって、夜も眠れないのよぉ」

「勝手に寝不足になってろ」

「嫌よ。不眠症になったらどうするのよぉ」

「知るかよ」

「寝不足って、女の肌には毒なのよ」

「毒におかされてろ」

「ひどっ!」

レンが向きを返ると、満沢さんを引きずるようにして歩きだした

あたしの前に来ると、廊下の壁にぶつけたあたしの肩をレンが擦ってくる

「大丈夫か?」

「あ…うん」

ぶつけたのを見てたんだ

あたしは頷くと、レンに微笑んだ

「ねえ、答えてよぉ」

「うるせえんだよ」

「いいじゃん」

「良くねえよ」

なんか……二人の息ってぴったりだなぁって思っちゃう

長く会話が続いて、羨ましいな
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