天然なあたしは悪MANに恋をする
そういえば…小島君は?

あたしはきょろきょろと周りを見渡した

小島君ならきっと満沢さんの行動を止めてくれるかもしれない

「あ…あれぇ?」

あたしはスッと横を通り過ぎていく小島君の姿を目で追った

満沢さんに目もくれずにスタスタと廊下を歩き、どんどんと距離が開いていった

え? 満沢さんの行為を止めないの?

『もうやめておけば?』ぐらい言ってくれないの?

完全、無視?

あたしは小島君の背中を見送りながら、真横で繰り広げるレンと満沢さんの言い合いを聞き流していた

「ああ、もうっ! うぜえんだよっ。次の授業が始まっちまったじゃねえかよっ」

授業開始のベルが、校内に響くとレンが怖い顔をして叫んだ

「授業サボってもいいからさあ。光の疑問を解決してよぉ」

「するかっ! 俺は授業に出るっ」

「出なくていいってばぁ。光の相手をしてよぉ」

「しねえよ。面倒くせえ」

「楽しいよぉ?」

「楽しくねえんだよ。苛々すんだよ」

「苛々しないよ。サービスするよ?」

「何のサービスだよっ! 意味がわからねえ」

満沢さんが制服のリボンを緩めると、ボタンを外して、レンにだけ下着を見えるようにチラっとワイシャツを持ち上げた

うわぁっ、あたしは満沢さんの行動に顔が真っ赤になった

凄っ、大胆な人だ

男性に下着を見せちゃうなんて…というか、胸の谷間っていうのかな?

レン、きっと嬉しいよね…男なら、スタイルの良い女性の身体を見せられたらムラムラしちゃうよね

あたしががっくりと肩を落としていると、「はああ?」といかにも嫌そうな声をレンがあげた

あたしはパッと顔をあげる

レンは片眉をぴくぴくと痙攣させながら、満沢さんを睨んでいた

「馬鹿か、あんた…阿呆だろう」

「え?」

満沢さんが、驚いた顔をして首を傾げた

「おかしいなあ…男なら、これで皆、ついてくるのに」

満沢さんが、ぼそっと呟くと、レンがバシッと頭を叩いた

「男が皆、あんたを魅力的だと思うわけじゃねえんだよ、ばーか」

レンは呆然とした満沢さんの腕を振り払うと、スタスタと歩き始めた

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