天然なあたしは悪MANに恋をする
初恋の終止符
『男の子って、高校生にもなると家に寄り付かなくなるのかしらねえ。バイトだあ…何だって何かしら理由をつけて、全然家に帰ってこないのよ』

レンのお母さんの言葉を、あたしはベッドの中で思い出した

レンは何のバイトをしているのだろう?

高校入学してすぐのころに、一回だけ質問したけど、答えてはくれなかった

曖昧に言葉を濁すとかじゃなくて、「ミズに言う必要はない」くらいな勢いで聞こえているのに、何も返事をしてくれなかったんだ

それはいつものことだし、あの時は別に気にしなかったけど…今はなぜか気になった

おばさんがぽろっと言ったから?

わからないけど、レンにもう恋人がいるんじゃないかって気がした

もちろんバイトもしていると思う

バイトを始めたって言ってから、レンがお小遣いをまったく受け取らなくなったって、おばさんが言ってた

だからきちんとバイトもして、プラス恋人ができたんじゃないかって

『制服を着るだけのために家に帰ってくることもあるんだから』

おばさんのこの言葉を聞いて、「ああ、レンには女がいるんだ」って妙に納得してしまった

恋人の家に泊まって、制服を着るためだけに家に寄る

そんなレンを簡単に想像できてしまった

「そうだよね。レンにいないわけ、ないじゃんね」

中学のときからモテてたんだもん

あたしがレンを好きだって、中学校のみんなが知ってた

幼馴染で、あたしがレンに付きまとっているってわかってた

だから両親の離婚が決まってから、これ見よがしに、レンを好きな女子たちがあたしとレンから引き離そうと、苛めが始まったんだから

若い男と浮気するような母親を持ったあたしは、母と同じような最低な女なんだとヒドイ噂を流され、無視され…物が無くなった

レンさえ傍にいてくれれば…って思ってたけれど、そろそろ潮時なのかな?

もうこの気持ちを諦めたほうがいいのかもしれない

レンに迷惑ばかりかけてる

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