天然なあたしは悪MANに恋をする
「ミズちゃんをいい加減に解放しなさい! さもないとサットだかシットだかが、踏み込むわよ」

「はあ? 刑事ドラマのマネかよっ」

「いいから…お母さんに隠れて、エッチしようなんて100年早いのよ」

「全然、隠れてねえだろう! 隠れてヤる気なら、ホテルに行くっつうんだよ」

「それもそうね」

勢いよくドアを開けたレンのお母さんが、エプロン姿でレンの部屋にずかずかと入ってきた

「開き直りかよ」

「だって最中じゃなかったし。今日も未遂って感じ?」

「うるせえよっ」

レンが、顔を赤くして怒鳴った

「…てか、お袋が入ってこなければ、毎回成功してんだよ」

「学校で、成功するかもよぉ?」

レンのお母さんが、肘でレンのわき腹を突いた

「失敗してんだよっ!」

「え?」

レンのお母さんが、目を丸くすると、にやぁっと顔を緩めて笑った

「お兄ちゃん、手が早すぎ!」

「早くねえよ。失敗してる時点で、早くねえだろ」

「なんで? なんで失敗したの?」

「……が、来て」

「え? 聞こえない!」

レンのお母さんが、片耳をレンの口元に近づけた

「だから…崎が、来て…邪魔されたんだよ」

「先生に見つかってんの? ださっ」

レンのお母さんが、呆れたように呟くとあたしの手首を掴んだ

「さあ、夕食を作りましょー」

「あ…おいっ」

「何よー。そうそう上手くいくと思ったら、大間違いよっ。ミズちゃんは、あんただけのモノじゃないのぉ」

レンのお母さんがニヤッとまた笑うと、あたしはお母さんと一緒にレンの部屋を出た
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