天然なあたしは悪MANに恋をする
『瑞那』

レンは何度もあたしの名前を呼んでは、あたしに触れてくれた

たくさんキスをして、何度も抱きしめ合って、レンと一つになった

信じられない

レンに抱かれる日が、こんなに早く来るなんて

夢みたい

何回も告白して、何回もフラれて、レンには嫌われていると思ってた

「幸せぇ」

あたしは、独りで呟くとレンの腕の中で丸くなった

レンがちゅっと額にキスをしてくれると、肩を抱きしめた

「俺も」

レンがあたしの耳元で優しく囁いた

「ねえ、満沢さんの質問ってどんなのだったの?」

「ああ?」

レンの声のトーンが急降下した

眉をひそめて、不機嫌な表情になった

「ロクでもねえ質問だよ。一つも答えてねえよ」

「なんで?」

「答える必要はねえだろ。なんであんなヤツに話さなくちゃいけないんだよ。うぜえ」

うぜぇ…って

レンはあんな可愛い子に付きまとわれて、嬉しくないのかな?

スタイルだっていいし、おしゃれだし

男の人ってああいう女の人が好きなんだと思ってたけど…

「はあ…瑞那、また変なこと考えてるだろ?」

「変なこと?」

「スタイルが自分より良くて、俺がグラついてんじゃねえか?ってこと。言っておくけどな…俺は、瑞那をスタイルだけで好きになったわけじゃねえんだよ」

「え?」

「は? 驚いた顔してんじゃねえよ」

「ねえ…いつからあたしを…」

「言うかよ」

「聞きたい」

「聞くな。聞いても、答えねえよ」

レンはぷいっとそっぽを向くと、頬を少しだけ赤く染めていた
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