天然なあたしは悪MANに恋をする
「泣くなよ」

レンが、あたしの肩をぐっと抱き寄せた

「ごめん…ちゃんと諦めるから」

「諦められるのかよ」

「努力するから。頑張るから。お願いだから、嫌わないで…レンと幼馴染でいたい」

あたしはレンの胸に顔をつけると、声をあげて泣いた

レンは濡れタオルを、ソファの上に置くと、あたしの背中をそっと撫でてくれた

温かいレンの手が、背中をさすってくれるたびに、あたしの泣き声が大きくなっていく

涙が止まらないよぉ

レンに迷惑がかかるから、泣きやんで笑顔を見せないとなのに

そう考えれば考えるほど、涙が溢れてきて、止まらなくなる

「レンが好き…レンが…どうしても、好きなの。ごめん。もう言わないから。今日で最後にするから」

あたしは、レンの胸の中で何度も何度も「好き」と呟いた

レンは何も答えてくれなかったけど、ずっとあたしの肩を抱きしめて、背中を擦ってくれていた

どうして、片想いってこんなに苦しいのだろうか

どうして両想いになれないのだろうか

レンはどうして、あたしを好きになってくれなかったの?

何か足りないものがあったんだよね

何が足りないのだろう

それは今のあたしに補えるのモノなのだろうか

おかしいなあ…諦めるって決めたのに、まだレンを追いかけようとしている気持ちが大きいよ

レンを忘れるって言ったのに

レンの胸の中で考えるとことは、ただ一つ

『どうしてあたしじゃないのだろう』ってことだけだった

レンの好みのタイプがあたしからかけ離れている

赤い車の女性を見れば、一発でわかる

あたしと正反対だ

綺麗で、大人びてて、しっかりしてて、なんでもそつなくこなせそうな女性だった

ああいう女性がレンの好みなら、あたしは一生、レンの恋人にはなれない

あたしの性格と外見からじゃ…カチっと決める大人の女性にはなれないから


< 18 / 129 >

この作品をシェア

pagetop