天然なあたしは悪MANに恋をする
あたしは口を尖らせると、うなずいてポッキーの箱を引っ込めた

小学校の頃は、甘い物が好きだったのにな

ついでにあたしとも仲が良かったのに…今じゃ、すっかりレンに嫌われてる

一緒にいたくて、同じ高校を受験して、ついてきちゃったのがいけなかったのかな?

それとも何度も告白して、ウザいとか?

好きな人と、共通点を持ちたいって思うことはいけないこと?

離れてしまったら、もう二度と出会わないような気がして、怖いって思っているのはあたしだけなのかな?

高校生になって1か月半が過ぎて、レンはますますあたしから距離を置いていく

家が隣同士なのに、確実に登下校の時間をズラしているのをあたしは知っている

今も、机に座って外を眺めながら、あたしが先に帰るのを待っているのだ

「ミズはまだ学校にいるのか?」

レンがあたしに声をかけてくれる

それだけで、あたしの顔には笑顔が広がっていく

嬉しい

ただ、帰る時間をズラすための質問にすぎないってわかってるけれど、話かけてくれた…その事実が嬉しい

「うん! セイちゃんとリンちゃんに誘われたから。先週もね。セイちゃんと……」

あたしがまだ話しているのに、レンが席を立って、薄っぺらいいかにも軽そうな学生鞄を手に持った

「帰る」

「あ…うん」

あたしはポッキーを抱いたまま、頷いた

「お前さ。少しは学習しろよ。頭、いいくせに馬鹿なんだよ」

「え?」

「中学のときと同じ過ちを繰り返すつもりかよ。苛められたくないなら、俺に話しかけるな」

レンが鞄を持ってる手を肩に乗せると、スタスタと教室を出て行ってしまった

あたしは、視線を落とすと、ポッキーをぎゅっと握りしめた

「だって仕方ないじゃない。あたし…人づきあいが下手なんだから」

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