天然なあたしは悪MANに恋をする

「レン、今日…バイトは？」

駅から家に帰る道を歩きながら、あたしはレンの背中に言葉を投げた

レンが足を止めると、あたしと肩を並べたところでじろっと眼球を動かした

「休んだ」

「え？　なんで？　怪我をしているから？」

レンがじっとあたしを見てくる

え？　何？

あたしはまたマズイことを言ったのかな？

「ミズが帰ってこないから」

低い声で、ぼそっと言うとレンが歩き出した

「え？　あたし？」

びっくりして声がひっくりかえる

レンが少しだけ振り返ってこくんと頷いた

「ごめん！　あたしのせいで…バイトを休ませちゃうなんて」

「別に」

あたしは足を止めると、腰を二つに折って謝った

「いつから…駅にいたの？」

「５時過ぎ」

携帯に電話し始めたころから、ずっと駅で待っててくれたの？

４時間半もあそこに立ってたの？　レンが？

「ごめん」

「ミズが携帯に出れば、待ち惚けを喰らわなかったんだ」

「ごめん」

「何度も謝るな」

「うん、ごめ……」

じろっとレンに睨まれて、あたしはハッと口元を押さえて苦笑した