天然なあたしは悪MANに恋をする
「ミズは、立宮と仲が良いみたいだな」

「あ、昨日…階段から落ちそうになって助けてくれた先輩が、立宮先輩だったんだ。ほら、腕の痣の…あれが立宮先輩」

「ふうん。ミズは知らないだろうから言っておくけど、立宮はヤクザの組長の息子だ。遊ばれて捨てられる前に、一線引いておけよ」

「え?」

あたしは小走りでレンの隣に立つと、横顔を見つめた

「ミズはすぐに騙されるだろ。だから最初に言っておくんだよ」

「なんで?」

「だから騙されるからって言ってるだろっ」

レンが、声を荒立てた

苛々しているみたいで、舌打ちをすると、栗色の綺麗な髪をガシガシと掻いた

なんで、そんなことを言うの?

心配してるみたいな言い方をして…ズルいよ

「レンには…関係、ない、よね?」

あたしは声をふるわせながら、ぼそっと呟いた

「ああ、そうだな」

「なら、あたしが立宮先輩と付き合っても…レンには何も言う資格はないよね?」

「あ? 付き合う?」

レンの眉がピクっと動くのがわかった

「そうだよ。今日、先輩に付き合おうって言われたの。さっきまで先輩と一緒に居たの」

「そうか。だから俺を諦めるって言ったんだ」

レンが足を止めると、ニヤッと口を緩めて、小悪魔のような笑みを浮かべた

「な…何よ」

「だから、昨日…俺に言えたんだろ。立宮と付き合えそうだったから、もう俺にしがみつく理由が無くなった。そうなんだろ?」

何…言ってるの?

レン、怖いよ?

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