天然なあたしは悪MANに恋をする
赤いネクタイ…この人は3年生で、先輩なんだ

勝気な瞳に、ワックスで逆立たせている金髪がちょっと近寄りがたい雰囲気を醸し出している

話し方は優しいし、助けてくれたところを見ると、そんなに悪い人じゃなさそうだけど…?

あれ? 英語の先生の確か、『立宮』って名前だった気がするけど、偶然かな?

「あ、サンキュ! これがないと、マジ兄貴に怒られる」

教室から顔を出している男子に向かって、返答をしていた立宮先輩の横顔をあたしは見つめた

「え? やっぱり英語の先生の?」

「は?」

あたしの言葉に、立宮先輩の首が半回転した

少しつり上がり気味な目の中に、あたしの顔が映った

「あ…いや、すみません。なんでもないです」

あたしは慌てて、頭を下げた

初対面の人に…しかも先輩にタメ口で、質問しちゃうなんて…怒られちゃう

きっと気分を害したよね?

せっかく助けていただいたのに、あたしってば、なんて失礼な言動をしてしまったのだろう

「頭、あげろって。そんなにビクビクすんなよ」

立宮先輩が困ったような声をあげた

え? 怒ってないんですか?

あたしは恐る恐る顔をあげた

「あれ? リンの友達だよねえ? どうしたの?」

教室から顔を出している男子生徒が、廊下に出てくるとあたしに声をかけてきた

あたしは立宮先輩の後ろで足をとめた男子生徒の顔に目をやった

リンちゃんの彼氏だ

「あ、こ…こんにちは!」

「あ、ああ。こんにちは」

立宮先輩の肩に手を置いたリンちゃんの彼氏が、軽く手をあげた

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