天然なあたしは悪MANに恋をする
あたしは左の耳だけに、ピアスの穴をあけた

先輩が使っているエメラルドの石のピアスをつけてもらうと、あたしは鏡を見つめた

少し熱い耳たぶには、エメラルドが綺麗に輝いていた

「どうたった?」

着崩れた制服からエメラルドのネックレスが顔を出している先輩が、鏡にうつっているあたしの顔を見てきた

「そんなに、痛くなかったです」

「ね? 一瞬で終わるから怖くもなかったでしょ?」

「はい」

あたしは頷くと、微笑みを作った

先輩もつられて、笑顔を見せる

金髪の髪がワックスで、きっちりとセットされている

今日は、目に緑のカラーコンタクトを入れいてる先輩の目は、まるで外国人みたいだった

「んじゃ、学校に行こうか」

あたしは先輩の声かけに、頷いた

鏡にうつるあたしは、何か別人になったような気がした

ピアスをつけただけでも、人の気持ちって勇気づけられるんだね

これなら、きっとレンを忘れられるような気がする

先輩が、あたしを変えようと努力してくれてる

あたしも変えられる気がしてくるよ

先輩がつけてくれたピアスに指先で触れた

まだちょっと耳たぶがジンジンとしているけれど、その痛みが心地良い

あたしが変わろうとしている痛みって感じがして、ちょっと嬉しくなれる

先輩があたしの手を握る

あたしも、先輩の手を握り返すと、笑顔を見せあって歩き始めた

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