天然なあたしは悪MANに恋をする
あたしの腕を掴んでいる立宮先輩の手に力がぐっと入った

痛みで、思わず顔が歪んだ

「青の新族長さん…だっけ? 武勇伝を披露するのは構わねえけど、族を放っておいていいのかよ。新しくなったら、なったりのルールを教え込まないと、とんでもないことになるぜ」

レンがあたしに手を差し出したまま、口を開いた

「お前には関係ないだろ」

「ああ、今の俺には関係のない話だ」

レンが勝ち誇った顔で、口の両端を持ち上げる

「あんたも、ミズがどう行動しようと関係ないはずだ。その腕を離せよ」

レンが視線が立宮先輩の腕に動いた

立宮先輩の手の力が緩むと、あたしの腕が先輩から解放された

「ミズ、来い」

あたしはレンの胸に飛び込むように、駆け込んだ

「レン」

ぎゅっとレンが、差し出してくれた腕で抱きしめてくれる

反対の手で、レンは日誌と筆箱を持つと、あたしの肩を抱いたまま、歩き出した

レンが、立宮先輩の真横で足を止める

「青の族長になったからって図に乗るな」

レンの低く小さな声に、立宮先輩の眼球が動いた

レンを睨むように、鋭い目を向けてくる

「赤がいる」

立宮先輩の睨みに動じることもなく、レンは口を開くと、再び歩き出した

教室を出るなり、レンの悪口が聞こえてきた

F組にいる男女が、立宮先輩を励ますかのように、レンの態度について、批難の言葉が飛び交っている

「レン、いいの?」

あたしは教室のほうに振り返ってから、レンの横顔を見る

「日直の仕事、サボんな」

「そういう問題じゃ…」

あたしはまた教室のほうに目をやった

「だって、レンが悪者になっちゃう」

「じゃあ、日直の仕事を全うしろ」

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