天然なあたしは悪MANに恋をする
「お前の知り合い?」

立宮先輩が、リンちゃんの彼氏に質問した

「知り合いっていうか…リンの友達?」

「ああ、最近できた女な。よくあんな女と付き合う気になるよな? 俺にはわからねえ」

「童貞君にはわからないよ」

「うるせーな」

立宮先輩が肩の上にあるリンちゃんの彼氏の腕を、叩き落とした

「…で? 1年生の女子がなんでポッキー持って、3年の教室に行こうとしてんだ?」

立宮先輩が、あたしの顔を見てきた

「え? あれ? セイちゃんとリンちゃんに……」

「あいつらなら、小遣いが入ったからって、ケーキ食いに帰ったぞ」

リンちゃんの彼氏が、親指を立てると正門がある方向に指を指して口を開いた

「…ったくさ。彼氏の部活が終わるのを待てっつうだよなあ」

リンちゃんの彼氏が、あたしに同意を求めてくるかのように視線を送ってきた

「え? あ…はあ」

『ごめーん。今日、二人してお財布、忘れちゃったの。お金、貸してえ』

セイちゃんとリンちゃんの言葉に思い出した

あたしに手を合わせて、2人に2千円ずつ渡した

あれは…ケーキを食べに行くお金になったんだ

あたしはポッキーの箱が変形するくらい強く抱きしめた

あたしの一週間分の食事代が、彼女らの一回のおやつに変換されてしまった…みたい

騙されちゃった…のかな?

あたしは下唇を噛みしめると、無言で立宮先輩たちに頭をさげて、階段を駆け下りていった


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