天然なあたしは悪MANに恋をする
幼馴染の想い
「ふうん、なかなかやるじゃん」

荷物を取りに教室に戻ってきたレンが、荒れている室内を見て、にやりと頬笑みを見せた

レンの机が倒され、教科書やノートが床に散乱している

どの教科も、ページがビリビリに破れている

「F組の奴らが騒いでると思ったら…こういうことか」

背後から低い声が聞こえて、あたしはぱっと振り返ると崎先生が、顎をさわりながら呟いていた

「大丈夫か…菅原」

崎先生が、レンの肩に手を置いた

レンは振り返ると、感情のこもっていない笑みを先生に見せた

「俺が怯えて泣くとでも?」

「いや、その逆だ。怒って、暴れ出すかと思ってな」

「まさか。ワクワクしてるよ。低次元な嫌がらせしかできないのがライバルだなんて、笑いが止まらない」

レン?

あたしは肩を抱いているレンの横顔を見つめた

「その割には目が笑ってないぞ」

「俺の後ろに立っている先生に、俺の目が見えるんですか?」

「参ったな。どうせ、笑ってないだろ」

「まあ、笑ってませんけど。怒ってもないし、怒りも感じてない」

あたしは崎先生に視線を送ると、先生はコクンと頷いた

「お前らしい感情だ」

「俺が招いた事態だから、俺が解決するのが当たり前の行動でしょ」

「そうだな。だが、やりすぎは良くないぞ」

「その言葉は、立宮に言ってやってください。俺は程々を知っている」

「俺から見りゃ、どっちもどっちだ」

崎先生は肩をすくめると、あたしに苦笑した顔を見せて歩き出した

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