天然なあたしは悪MANに恋をする
「じゃあ、一つ質問。あたしは、レンへの気持ちを諦めなくていいの?」

「ああ」

「本当に?」

「ああ」

「良かったぁ」

あたしは胸に手を当てて、ほっと肩の力を抜いた

良かった

本当に良かったよ

あたし、レンを諦めなくていいんだね?

好きな気持ちを無理に隠して、生きていかなくていいんだ

レンを好きな気持ちを、レンに認めてもらえたんだ

嬉しい

「レン、ありがと」

「んじゃ、帰るぞ」

「これ…どうするの?」

あたしは散らかっている教科書やらノートやらを見つめた

「知るか。放っておけ」

「でも…」

「どっかの誰かが片付けておいてくれるだろ」

「そんな他人まかせな」

レンは散乱している場所から、薄っぺらい学生鞄を掴むと、中に筆箱だけ入れた

「俺がやったわけじゃねえ。片付けるつもりはないね」

レンは自分の教科書なのに、足を踏みつけて歩いた

「レン、平気?」

「あ? なにが?」

レンは平然とした態度を崩さないけど、ショックを受けてないの?

自分の持ち物をこんなにされちゃったんだよ?

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