天然なあたしは悪MANに恋をする
「ミズはどんなふうに、優香を見てた?」

「え? それは…」

レンの恋人なんでしょ?

だって親しそうだったし、何も気にせず、触れ合ってた

「バイト先のマ…いや、店長だよ」

『マ』?ってなに?

「店長? 本当に?」

「ああ」

レンは再び、ベッドに腰を下ろした

「恋人かと思ってた」

「やめてくれ。ああいうのは、趣味じゃねえ」

「え?」

「あ、いや…別に」

レンが、頬を赤くすると、あたしに背を向けた

「ねえ、レンの好きな人って誰?」

「はあ? この状況で、それを聞くか、普通……」

レンが呆れた顔をすると、ごろんとベッドの上に横になった

「だって知りたいから…」

「誰だっていいだろ」

「よくないよ! もしその人とレンが良い感じなってるのに、あたしがレンを追いかけてたら、その人に申し訳ないでしょ?」

「そういう状況になったらどうするんだ?」

レンは頭の下に両手をおくと、椅子に座っているあたしに視線を送ってきた

「…そりゃあ、その時こそ、レンを諦めないとだし…」

「じゃあ、一生、諦める日が来ねえから安心しろ」

レンが寝がえりを打って、窓際のほうに向いてしまった

「え? それってどういう……」

「うるせえよ。寝るぞ。おやすみ」

レンはベッドの布団を身体にかけた
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