天然なあたしは悪MANに恋をする
「ねえ、ちょ…レン?」

「なんだよ」

レンはこっちを見ずに、声だけで反応する

「宿題はやらないの?」

「やらねーよ。教科書の破れ具合を見ただろ? 宿題のやりよーがねえ」

「あ…そっか。ごめん」

「まあ、面倒くせえから、いつもやってねえけど」

「そうなの?」

「やってねえよ」

「駄目じゃない」

「駄目じゃねえし。どうにかなってるし、平気だろ」

「成績に響くよ?」

「もともと頭が悪ぃからいいんだよ」

レンは片手を振ると、布団の中にもぐった

「…てか、寝るぞ。俺、一昨日も昨日もほとんど寝てないんだ。バイトが早くあがれたんだから、寝かせろ」

「え? 昨日も?」

あたしの質問に、レンの身体がびくっと動いた

「どうして?」

「別に…いいだろ」

「あたしのせい?」

「違う」

「じゃあ、なんで?」

「聞くな」

「聞きたいよ」

レンがさらに布団の中に潜った

「ミズが、立宮の車に乗り込んだのが見えたから……いつ帰ってくるのかと思って…気になって眠れなかったんだ」

レンの意外な言葉に、あたしの目が見開いた
< 61 / 129 >

この作品をシェア

pagetop