天然なあたしは悪MANに恋をする
拾った恋の行方
ブー、ブーと鳴る重低音にあたしは目が覚めた

真っ暗な部屋のはずなのに、机の上が明るくなっている

あたしは布団から顔を出すと、モソモソと布団から出て、携帯の液晶が見える位置まで身体を乗り出した

『立宮 景』という表示を見て、あたしは心臓が跳ね上がった

レンの顔を見る

レンはバイブに気づいていないみたいで、あたしの隣で規則正しい寝息をたてている

あたしはレンを起こさないように、レンの足を跨ぐとベッドを出た

携帯を握って、自分の部屋を出ると、階段を降りながら、通話ボタンを押した

「はい、もしもし?」

「やっと出た」

「すみません。もう寝てて…」

「寝てて? 誰と?」

「え? 一人でですけど」

「ふうん…菅原、怒ってたみたいだし、とうとうそういう関係になったのかと思ったけど?」

「いえ、怒ってたのはあたしがきちんと日直の仕事をしなかったからってだけで…」

「鈍感な二人だな。まあ、そのほうが俺としては、好都合だけど」

「え?」

あたしは聞き返すが、先輩はくすっと笑うだけだった

「明日、少し早めに学校に来い。話がある。断るなよ? 断ったら、菅原が痛い目を見る。教室、見ただろ? あれはまだ序の口だよ。もっと酷いことをする。それが嫌なら、菅原に気づかれないように、早く学校に来い」

「あ…はい」

あたしは電話なのに、大きく頷いた

レンには何もしないで

あたしでどうにかできるなら…あたしが我慢すればいいんだから

レンは何も悪くないんだし、今日のはあたしがいけないんだもん

日直なのに、何もしないでレンに全てやらせたあたしがいけない

あたしは大きく息を吐き出すと、携帯を切った


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