天然なあたしは悪MANに恋をする

あたしは重い足取りで家に帰る

一戸建ての家の門の前で、あたしは足を止めると、隣の家の二階を見上げた

レンの部屋の窓を見つめる

窓はしっかりと閉まっていてレースのカーテンがかかっていた

もう…帰ってきてるんだよね

レンは、あの部屋で、何をしてるんだろう

「あっ！　ミズちゃん、今夜の晩御飯はお鍋にしたから！　お手伝い、よろしくねえ」

レンの家の窓がガラリと開くと、レンのお母さんが顔を出して声をかけてきてくれた

「あ、はい。着替えたら、すぐに行きます」

あたしは、ぺこりと頭を下げると、家の門にガツンと額をぶつけた

「いったぁい」

あたしは額を手で押さえると、涙目になる

「大丈夫？」

レンのお母さんがびっくりした声をあげた

「ああ、平気です。いつものことですから」

あたしは「あはは」と笑いながら、自分の家の敷地内に足を踏み入れた

そう…いつものことだ

おっちょこちょいで、ドジで…他人に騙されているのに、気付かないなんていつものこと

セイちゃんやリンちゃんは、悪気があってしていることじゃないと思う

きっと何か理由があるんだよ

あたしは玄関のカギを開けると、家の中に入った

ドアに寄りかかると、「ふう」っと息を吐いた

靴を脱いで、二階にあがると自分の部屋に入った

ベッドに鞄を投げると、あたしは制服を脱ごうと手をあげた

あれ？

あたしは腕についている痣に目をやった

「これ、立宮先輩の…？」

階段から落ちそうになって掴んでくれた場所に、くっきりと指のあとが痣になって残っていた