天然なあたしは悪MANに恋をする
「ミズ、平気だ。俺一人じゃない。そうだろ?」

レンが、にっと微笑んだ

そうだ…確か、先生たちが来てた

「ここで待ってろ。いいな」

あたしは泣きながら、コクンと頷いた

「あ…でも、レン。先生たちが来てたから、喧嘩になったら停学になっちゃう」

「崎先生たちだろ? 平気だよ。あの人たちは俺を停学にはしない」

レンがあたしの頭をポンポンと叩くと、「行ってくる」と言って、用具室の扉を開けた

あたしは跳び箱の影に隠れると、膝を抱えて隠れた

怖い

一人になった途端に、震えがさらに酷くなった

逃げたいけど、一人で逃げるのもイヤ

レンが助けに来てくれたのはすごく嬉しいけど、怪我したら困る

もう考えてることがぐちゃぐちゃで、頭の中が爆発してしまいそう

あたしは、自分の肩を抱きしめると、背中を丸めて小さくなった

レンに言われた通りに、立宮先輩のところに行かなければ良かった

そうすれば、こんなひどい目には合わなかった

レンが喧嘩をすることもなかったのに…どうして、あたしはいつもレンに迷惑ばかりをかけてしまうのだろうか?

あたしがレンに黙って、さっさと学校にさえ行かなければ…そう思うだけで、激しい後悔が胸を支配した

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