天然なあたしは悪MANに恋をする
「ミズ…」

レンの手があたしの肩に伸びてきた

「いやっ」

あたしはレンの腕を払うと、立宮先生の後ろに隠れた

レンの驚きに満ちた表情を目にしたあたしは、ハッとした

「ご…ごめっ。ち、違うの」

なんでだろ

どうして、レンの腕を払いのけたのだろうか

あたしは自分の手を見つめた

違う、レンは悪いヤツらとは違う

青いツナギを着ている暴走族とは違う

あたしは心にそう言い聞かせると、深呼吸をした

「えっと、あたし…」

レンが、寂しそうな笑顔を見せると、首を横に振った

「怖い思いをした後だから…いいんだ。俺も気にしない」

レンがちらっと体育館のほうに視線を動かした

「あとは赤族の奴らが収集をつけてくれる。ミズは、家に帰ろう」

「あ…うん」

あたしは頷いた

「立宮先生、車で来てますか?」

「え…あ、ああ」

「ミズを家まで送ってもらえますか? 俺はバイクで来たので、二人乗りは厳しいですし…たぶん、今のミズの状態を考えると、俺に抱きつくのは無理があると思うので」

レン…ごめん

ごめんなさい

あたしは、どうしてレンの手を振り払ってしまったのだろう

レンはこんなに優しい人なのに…

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