天然なあたしは悪MANに恋をする
「家で、今日はゆっくりと休もう」

「でも…学校は?」

レンがあたしの顔を見ると、ゆっくりと首を左右に振った

「立宮先生だって、無理すんなって言ったばっかだろ。今日は休もう」

「じゃあ、レンだけでも…」

「行かねーよ」

レンはあたしの手を握ったまま、家の門を開けてくれた

すっと手を離すと、レンがバイクのほうに足を向ける

「ミズんちに入れといて。俺のバイクは今、修理中でさ。ダチのバイクなんだ」

レンが肩を竦めて苦笑した

「そうなの?」

「ああ」

レンはバイクを、あたしの家の敷地内に入れると、玄関に来た

「あ、焦って家を飛び出したから、開けっぱだ」

レンが、鞄の中にある家の鍵を漁っているあたしの横でぼそっと呟いた

「焦って?」

「え?…あ、あー、まあ、いいだろ」

レンは言い難そうに、こめかみを指先を掻いてから、あたしよりも先に玄関のドアを開けた

玄関の中に入ると、レンがさくさくと靴を脱いで、家にあがる

「あったかい飲み物でも用意するから」

「え? レン、いいよ。あたしが…」

「ミズはソファで待ってろ」

レンは鞄を廊下にどんっと投げるように置くと、キッチンのほうのドアを開けた

あたしも靴を脱ぐと、レンに言われたとおりに居間に向かった

レンが優しすぎる

きっとあたしが、傷ついているって思ってるからだ

ごめん…もっと普通にふるまえたら、いいのに
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