天然なあたしは悪MANに恋をする
レン?

あたしは首を傾げた

だって、レンには迷惑をかけたくなかったんだもん

親の離婚で、あたしは一人になった

そりゃ、レンに甘えたいって思ってたけど…レンにだって受験があったし、勉強の邪魔になったら悪いなって

それに…あたしみたいな子が傍にいたら、レンも悪く言われるんじゃないかって不安だった

「一人でベッドの影で泣くくらいなら、さっさと俺んとこに来いって思ってた。ずっとな。結局、ミズは一度も来なかったけど」

レンがココアの入ったマグカップをあたしに差し出してくれる

湯気がゆらゆらと揺れながら、のぼっていった

「あれ? レンはいいの?」

「あ?」

「飲み物」

「ああ、朝から甘いのはちょっと…な」

レンが胃の下あたりを、擦った

「そうなんだ。じゃあ、お茶を入れるよ」

「だから…ミズは座ってろって」

「いいって。動きたいよ。普通っぽい生活がしたい」

あたしはマグカップをテーブルに置くと、キッチンに歩いて行った

レンは「ふう」っと息をつくと、床に尻をつけた

長い足を組んで、レンがテーブルに頬をつけた

「なあ、ミズ……もう気づいているかも知んねえけど、俺、暴走族の…」

「あ…赤族っていうのに入ってるでしょ?」

あたしは早口で、レンの言葉にかぶるように言った

「ああ。中学んときから、ツルんでる」

「え?」

中学の時から?

高校に入ってからじゃないの?

< 83 / 129 >

この作品をシェア

pagetop