天然なあたしは悪MANに恋をする
「暴走族っつてもさ。赤は悪い奴らじゃねえ。バイクが好き集まってるって感じ。青と喧嘩はするけど、結構、仲間内のルールとか厳しくて、青みたいな馬鹿な真似をするようなヤツは一人もいない」

「ん」

あたしはお茶の葉にお湯を注ぎながら、レンの言葉に頷いた

「赤がそんなんだから、余計、青に悪いヤツらが集まっちまうんだろうけど。俺は青とは違う。好き勝手なんて許さねえ。絶対に、な」

レンの表情が、変わった

冷たくて、まるで氷みたいな瞳だ

なんか、レンが赤を仕切ってるみたいな言い方をしてる

「ミズの受けた心の傷は、青の奴らにしっかりと刻みつけておくから」

「え?」

「駄目…とか言うなよ。俺が決めたんだ。青の幹部らを俺は許さねえ」

あたしは勝手に震えてくる右手を、左手で抑え込むと、湯気ののぼる緑茶を見つめた

「でも…ルールが厳しいって」

「ああ。俺が厳しくした」

「え?」

「片岡先輩も、篤樹さんも二人とも優しかったから。纏め方がうまかったんだろ。少し緩んでる部分が俺には目についてた。だから、俺がチョーになって、すぐにルールを作った」

「え? ちょっと、『チョー』ってなに?」

あたしはお茶をキッチンに置きっぱなしで、レンの前に駆け寄ると、腰を低くした

「俺が赤の族長だ」

「レンが?」

「ああ」

レンの言葉にあたしは口をぱかっと開けたまま、動けなくなった

「ミズ、俺が怖いか?」

あたしは首を横に振った

でも、涙が出てくる

怖くない

レンはレンだもん

優しいのを知ってる

温かい心を持ってるってわかってる
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