天然なあたしは悪MANに恋をする
「あー、えっと、片岡先輩から聞いた」

「レンはどうして、『片岡先生』じゃなくて『片岡先輩』なの?」

「片岡先輩は、元赤のチョーだから。俺にとって、先輩だよ。あと、崎先生も」

あたしは目を丸くしたまま、身体が固まった

「え?」

「だから、崎先生も片岡先輩も赤の『チョー』経験者だ。俺は崎先生に憧れているんだ。俺もああなりたい」

レンが、遠くのほうを見てコクンと力強く頷いた

「え?」

「あ? いや、別に喧嘩がしたいわけじゃねえ。心身ともに強い男になりたいってことだ。今朝は、片岡先輩から携帯に連絡がきた。まだ俺、ミズのベッドで寝てたときに。ミズが青に連れ去られたって聞いた時は、マジで焦った。身体の体温が一気に低下した」

あたしはレンの手にそっと触れた

レンがあたしの手をぎゅっと握ってくれる

『あのぉ…どうしてあたしの名前を知ってたんですか?』

『え? ああ、僕の知り合いがね。君の写真を持ってたから』

『写真? 誰がですか?』

『あ…うん。まあ、知り合い』

あたしは、数学準備室に行った時のことを思い出した

「あっ! もしかして、片岡先生があたしを知ってたのって、レンがあたしの写真を持ってたから?」

あたしが大きな声で言うと、レンの手があたしから離れた

レンの顔が真っ赤になり、あたしに背を向ける

「…んだよ、それ」

「あ…えっと。一度、崎先生にわからない問題を聞きに行ったときにね。片岡先生に会ったことがあるの。そのとき、先生があたしの名前をポンっと言ったから、不思議に思って…」


レンの耳までも真っ赤になっていた

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