天然なあたしは悪MANに恋をする

結局、家に到着するまで、レンは教えてくれなかった

レンは、どうしてこうと決めたら、絶対に曲げないのだろう

あたしは知りたいのに…

「ミズ、俺は一度家に帰ってから、ミズんとこに行くから」

「ん」

「窓、開けておけよ」

「わかった」

レンが満足そうに頷くると、レンの背後に真っ赤な車が停まった

見覚えのある赤い車から、見覚えのある女性が怖い顔をして出てきた

「ちょっと！　メール見たわよ。何なのよ、また怪我したって！」

運転席から、優香さんが縦ロールの髪を振り乱して降りてきた

レンが振り返ると、優香さんの目が大きく見開かれた

「なんて……顔に傷をつくなんて…何を考えてるのよ。蓮耶は顔しか取り柄がないんだから！」

「何も考えてねえよ」

レンが、悪気もなく答えた

「ああ…もうっ！　蓮耶がいないと困るのよ」

「俺がいなくても、店は開店できる」

「違うのよ。女の子のたちのやる気が違うの」

『女の子』？

あたしはレンの顔を見る

レンは喉を鳴らすと、優香さんの腕を掴んだ

「しばらくバイトは休むってメールした」

「だからそれが困るから、こうやって来てるんでしょ！　電話しても、完全無視なんだから」

「煩いから、着信拒否にした」

「だから来たのよ」

レンが頷くと、首の後ろを掻いた

「困ったな」

「それは私のセリフよ」