君に溺死
重なる傷あと
こんな土砂降りの日には。君と出逢ったあの雨の日を思い出すよ。
僕の初恋記念日。
「…めーちゃん、遅いなぁ。」
ざぁざぁ、と。今の僕には心地好い雨の音。めーちゃんを待つ時間さえも、幸せな時間だ。外は寒いけれどなんだか凄く温かいし、ね?
待ち合わせたお洒落な雑貨屋の軒下で、ぼんやりと僕は空を見上げた。真っ黒な空から落ちてくる雨粒。少しだけ、幸せな気持ちが不安に変わってく。
「もしかして、事故?」
時間が経つにつれて大きくなっていく不安。僕は携帯を取り出してめーちゃんに電話をかけた。
君の可愛い声を聞けたら。僕はこの場で百年くらい待てそうな気がする。
だから、早く。機械越しでイイから、声を聞かせて。