君に溺死
溺れるほど愛してる
君は光。
明るく照らされた中で見る赤は鮮やかさえにも見えて。本当はそんなに汚れたモノなんかじゃないんだと、僕は少し思えてしまうんだ。
「芽衣はオマエに逢いたがってる。」
腫れた顔。切れた口元。汚れた身体。赤く染まる右手。吐き出す酸素。途切れる言葉。
力が入らない体を震える足で支えて。目元を腕で隠す藤咲を見下ろした。
「…芽衣ちゃんに逢いに行くよ。」
藤咲と同じくらいボロボロの僕。喧嘩を制したのは僕。芽衣ちゃんを世界で一番想ってるのは僕、だ。
…ねぇ、間違いなんかじゃなかったでしょ?
「…芽衣は俺に逆らえねぇから。俺が今までそうして来たんだ。」
大切だったから、と。小さく呟く藤咲の声は、何時の間にか降り出した雨音によって掻き消された。