『密室殺人』
 
「パパはいつも生八ツ橋を買って来てくれるんだよ!それ、おいしいよ!!」


「パパ……?」


屈託なく話す弥生の言葉を、洋子は繰り返した。


「京都出身なもので……。今日、隣に越して来ました」


「そうですか……」


隣の幸せそうな家族と会話しながら、洋子は言いようのない不安を覚えた。


その不安を打ち消すように、洋子は口を開いた。


「弥生ちゃんのお母さまとは、どちらでお知り合いになったんですか?」


洋子の質問に男は答える。


「妻の入院していた病院です」



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