『密室殺人』
 
この部屋のドアを少しだけ開けておくこと


隣の部屋の中には入らないこと


決して、『男』が自分の家にいることを悟られないこと


以上が男の言う『約束』だった。


弥生は大きく頷く。


「いいか、弥生ちゃん」


男が真剣な顔をした。


「弥生ちゃんのお父さんはこれから『自殺』するんだ。
だから、オレはこの部屋に居てはいけないんだ。
カギを締めて出て行く。
そして、そのカギを弥生ちゃんに渡す。
その時、隣りのお姉さんにオレの姿を見られる訳にはいかない。
隣のお姉さんには『部屋に入って』いて貰わなくちゃいけないんだ」

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