『密室殺人』
 
「もちろんその時、弥生ちゃんは隣の玄関の外に一人でいるんだ。出来るかい?」


「出来る」


「……それから」


「それから?」


「弥生ちゃんのお父さんが『自殺』した姿……それを見るのはとても辛いかも知れない。オレはこの部屋にはいない。それでも大丈夫か?」


「……大丈夫」


「弥生ちゃんが今度この部屋に帰ってくる時は、隣のお姉さんも連れて来るんだ、いいね?」


「パパ……」


「……ん?」


「パパは、一人で大丈夫?」



「必ず、迎えに来る」


不安げな娘の頭を男は優しく撫で、力強く頷いた。



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