約束
第五章 欲張りな気持ち
ぎっしりと並ぶ見慣れないものに思わず苦笑いを浮かべていた。さっきから手を伸ばそうとはしているが、そのたびに手を引っ込めていた。

何か触れてはいけないものが目の前に並んでいるのではないかという錯覚を覚えてしまうほどだ。

 そんなことを繰り返しているうちに今朝聞いたばかりの名前を見つける。木原君が好きだと言っていた作家の本だ。

今度は勇気を出して、本をつかむ。そして、ページをめくると中身を軽く確認していた。


だが、想像していた以上に敷き詰められた文字に軽い眩暈がした。その上、本文が二段になっており、量も想像していたものの倍近くはあった。


 試しに適当なページを開き、読んでみた。情景が浮かぶような文章といえば聞こえがいいが、長く、頭を使う。この文面で最後まで読むことなどできるのだろうか。
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