約束
「大丈夫よ。あなたが考えているよりは彼はあなたのことを気にしているから。他人に無関心な人だからそれを考えると、あなたのことを相当気にかけていると思う。一緒に暮らしていたら、余計に気まずいかもしれないけど。ただあの人は鈍感だから困るのよね」

 彼女の口から聞こえてきた言葉に思わず顔をあげる。今までの罪悪感が全て吹飛んでしまっていた。

「どうして一緒に暮らしていることを知っているの?」

 そのとき思い出したのが、野木君が木原君から聞いたと言っていた話。

昨日、私は告白の件で頭がいっぱいで、木原君に口止めするのを忘れていた。だが、その前に百合に話をしていた可能性もあるけど。

 百合は困ったように微笑んだ。

「木原君からね。何も考えていないのだと思うわ。一応口止めはしておいたけど、かまわなかった?」
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