約束
 彼との約束を果たすには、私には役者不足かもしれない。

 正直、私が木原君の役に立てるとは思わない。

 それでも、野木君の言ってくれたように今日より、明日、明日より明後日で時間が進むうちに少しずつなら変われるなら、彼の力になれる日が来るかもしれない。

 木原君は歩みを止めると、私を見つめる。

「昨日からいろいろごめん。君に無神経なことをいった気がしたから」

「いいよ。私もごめんね。いろいろと」

 彼は私の言葉に首を横に振る。

 私は頑張ると決めたから、精一杯の笑顔を浮かべた。
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