約束
 翌朝、私は何度も鏡をチェックしていた。身だしなみを完璧にチェックして、部屋の外に出る。そのとき、木原君と出くわした。

「おはよう」

 きちんと笑えていたか分からない。でも、できるだけ笑っていられたらいいという願いを込めて。

 木原君は驚いたように私を見ていたけど、すぐに目を細める。

 少しだけ頬を赤らめて、可愛い感じがする。

「おはよう」

「由佳、熱でもあるの? 顔が真っ赤だけど」

 木原君とリビングに入ると、コーヒーを飲んでいた姉がそう声をかけてきた。

 わざとなのか、本気で心配してくれているのか表情からは読めない。

「何でもないよ」

 私は出来るだけ淡白に返事をする。


 でも、私にはまだ気になる事がある。晴実のことだ。

 言う必要はないのかもしれない。でも、やっぱり彼女には自分から伝えたかったのだ。
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