約束
 晴実は肩をすくめる。

「でも、野木君のことを好きになったときは私には遠慮しないでね」

 そう言うと、晴実は笑顔を浮かべている。その笑顔は昨日の野木君を思い起こさせる。彼女も彼のことが本当に好きなんだろう。

「私、野木君の好きな人が由佳でよかったって思っているんだ」

「どうして?」

「私を好きになってくれれば一番いいけど、由佳なら分かるもの。こういうところが好きなんだろうなって。何でこんな人をと思うような好みの悪い人じゃなくてよかったと、ほっとしたんだ。変な話だけどね。言いにくいこともあるかもしれないけど、悩み事があったら相談してね。出来るだけ相談に乗るよ」

 私は優しい言葉をくれた親友に「ありがとう」と告げた。
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