約束
 私も何となく木原君の後を追う。

 近くに行くと、彼の姿を間近で見ることができた。遠くから見た感じと遜色ないほど整った、それでいて綺麗な顔立ちをしていた。

 艶のある黒髪に、どこか優しげな目元。それでいて少し日に焼けた肌に、程よく厚みのある唇。

だが、私が感じたのはそれだけではない。彼のことをどこかで見たことがあると思ったのだ。

 彼は私達を見ると、目を細める。

「久しぶり。雅哉と由佳ちゃん」

 彼のその言葉を聴いて、誰かすぐに分かる。

 木原君の家の前にいた、私の名前を知っていた人。低い声が心地よく、より彼を優しげに見せていた。聞きたいことはたくさんあったのに、端正な顔立ちに見つめられると、何も言えなくなる。

「二人とも固まってどうかしたの?」

 彼は不思議そうな顔をする。

 時間の経過とともに彼が誰に似ているのか気づき、声をあげてしまいそうになる。彼は木原君に似ているのだ。だが、そっくりというわけではない。なんとなく似ているといった程度だ。

「とりあえず離れようか。なんか先生らしき人がやってきた」

 振り返ると、体育の高林先生が足早にこちらにかけてくる。私服の男が校門前にいるため、事情を聞きに来たのかもしれない。

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