約束
 翌日、朝学校に行く時に、木原君から今日は先に帰っておいていいと言われた。

一馬さんと会う約束を交わしたらしい。

学校についてその事を晴実に伝えると、今日は三人で何かおいしいものでも食べて帰ろうとなったのだ。

 ホームルームが終わると、百合が教室に来るのを待って、私達は学校を出る。

 昇降口で靴をはきかえたとき、何気なく辺りを見渡す。

 木原君はもう学校を出たんだろうか。

「木原君ならもう学校にいないと思うよ。ホームルーム終わってすぐに出て行ったもの」

 靴を履きかえた百合が私のところに来ると、そう告げた。

「一緒に帰れないと寂しいよね」

 晴実が私にからかうような笑顔を浮かべる。

 何で私が木原君のことを考えていると気付かれたんだろう。
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