約束
第九章 好きという気持ち
扉をノックすると、木原君が出てきた。私と目が合うと、苦笑いを浮かべる。成り行き上彼を家に上げる羽目になったのだろうか。
私がティーポットの載ったお盆を差し出すと、隣からひょいと奪われた。それを奪ったのは案の定矢島さんだった。
彼は人懐こい笑みを浮かべている。
「ありがとう。よかったら話でもしない?」
「彼女にだって用事があるのだから、毎日絡むのは迷惑だよ」
「少しだけならいいよ」
木原君が私を気遣ってそう言ってくれたことは分かっていたが、私も少し彼と話をしてみたかったのだ。部屋に入ると、木原君は私に紅茶を渡してくれた。
母親が準備したお盆には二人分しかなく、本来は私の分はない。
すでに矢島さんは紅茶を飲んでいることから、これは木原君の分なのだろう。
「いいよ。私、自分で持ってくるから」
「俺はのどかわいていないから、気にしないで」
これ以上拒むと逆に失礼な気がし、お礼を言って受け取ると、お茶を飲むことにした。紅茶のほんのりとした甘みと苦味が口の中に入ってくる。
私がティーポットの載ったお盆を差し出すと、隣からひょいと奪われた。それを奪ったのは案の定矢島さんだった。
彼は人懐こい笑みを浮かべている。
「ありがとう。よかったら話でもしない?」
「彼女にだって用事があるのだから、毎日絡むのは迷惑だよ」
「少しだけならいいよ」
木原君が私を気遣ってそう言ってくれたことは分かっていたが、私も少し彼と話をしてみたかったのだ。部屋に入ると、木原君は私に紅茶を渡してくれた。
母親が準備したお盆には二人分しかなく、本来は私の分はない。
すでに矢島さんは紅茶を飲んでいることから、これは木原君の分なのだろう。
「いいよ。私、自分で持ってくるから」
「俺はのどかわいていないから、気にしないで」
これ以上拒むと逆に失礼な気がし、お礼を言って受け取ると、お茶を飲むことにした。紅茶のほんのりとした甘みと苦味が口の中に入ってくる。