約束
「迷子?」

 少女の背後から声が聞こえる。
 そのとき、彼女が一人ではないのに気づいた。


 後ろにたっていたのは彼女より背の高い男の子が二人。


やさしい目元をしたジーンズに黒のシャツを着た子と、グレーのハーフパンツに白いシャツを着た子だ。


男の子二人の顔がなんとなく似ていること、黒のシャツを着ている子が隣の子よりも若干背丈が高かったことから、兄弟なのかもしれないと思った。


「おばあちゃんがいなくなっちゃったの」

 その言葉に少女は唇を軽く噛み、首を横に振る。彼女の髪の毛が先ほどのシフォンワンピースのように揺れていた。

彼女が口を震わせ、何かを言う前に、もう一つの影が少女の隣に並んでいた。膝までのグレーのハーフパンツをはいていた子だ。

彼の白目には細かい赤の線がいくつも走り、皮膚が夕日のように赤くはれていた。

 彼はわずかに目を細め、優しく微笑む。

「僕と一緒だね。僕はお母さんだけど」

 彼はそういうと、さっきまで涙をぬぐっていた私の手をそっと包み込んでくれた。

その手は私の体温よりも高く、何かに守られているような気分にさせてくれた。

そのとき淡い光が差し込み、その瞳をきらきらと輝かせる。彼も泣いていたのかもしれない。
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