約束
 私は一馬さんを連れて部屋を出た。ただ、その前にやることがある。

 リビングで母親にティーポットの中身を新しいものに替えてもらう。

木原君はまだ紅茶を飲んでいないためだ。それを新しいコップとともに木原君の部屋に持っていく。

木原君は驚きながらもお礼を言ってくれた。

「一馬のことだけど、無理にあいつに付き合わなくても。断りにくいなら俺から断るよ」

「私も話をしたいことがあったから」

 彼はそれでも心配そうだった。悪いと言う気持ちが先行していたのかもしれない。

 一馬さんは玄関先で待っていてくれた。

 彼はあのスニーカーに足を通していた。

 靴を履くと、一緒に家の外に出た。


「あいつ、何か言っていた?」

「無理に付き合わなくてもいいって言っていました」
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