約束
「分かりました。私でよければいつでも話し相手になります」

「ありがとう」

 二人は木原君の何を知っているんだろう。

 彼は眉間にしわを寄せ、私を見ている。

 何かをじっと考え込んでいるようだった。

「君って、産まれてずっとこの辺に住んでいる?」

「多分そうだと思いますよ。記憶のある頃にはこの辺に住んでいました」

 彼はうなずいていた。だが、その目はやはり何かを考えているようだった。

「百合は何か言っていなかった?」

「今日のことですよね?」

 話が突然切り替わったので、あえて尋ねる。

 彼はああ、そうだね、と不意をつかれたような表情を浮かべていた。どう考えても虚をつかれたような表情を浮かべていたのだが、彼は強引に話を進めてきた。
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