約束
 それは頼みではなく、命令みたいだ。

「今度おごってあげるよ」

 一馬さんは私の背中を軽く叩く。

 今日は本当に食べ物にありつけないようにできているみたいだ。

 何度も食べ物を意識して、いつものこの時間よりお腹が空いてしまった。

 彼と別れ、姉に近所のスーパーまで連れて行かれることになった。

「いつから友達だったの?」

「今年の四月かな。木原君のことも彼から聞いたんだ。自分の従兄弟が我が家でお世話になるかもって話。何か昔話でも聞いてあげようか?」

 木原君の子供の頃の話。それは心をひきつけるフレーズだ。

「考えておく」
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