約束
第十章 意外な共通点
 あかい夕日が立ち込める中、男の子が泣いていた。彼は睫毛が長くて、可愛い男の子だった。

 年齢も手助け、一目見だけでは男か女か判別がつかない。だが、彼の服装と、話し方から男の子なのだと思っていた。

 私は母親がいなくなったと告げた彼に少しでも笑ってほしくて、こう言葉にした。

「大丈夫だよ。お祖母ちゃんがね、悪いことがあったらきっといいことがあるって言っていたの」

 彼は驚いたように私を見る。

「私にも悪いことがあったから、きっと大丈夫。お願いしておくから。お母さんができますようにって。だから二人分の悪いことがいいことになるから、きっと素敵なお母さんができるよ」

 私はその後、彼と一緒にお願いをした。彼にお母さんができますように、と。私にはお母さんがいるから、そんなことをお願いする必要がなかったのだ。

「じゃあ」

< 210 / 546 >

この作品をシェア

pagetop