約束
「今、おばあちゃんの家ってどうなっているの?」

「急にどうしたの?」

「気になったから」

「今はスーパーができているらしいわ。広い家だったからね」

 こげ茶色の廊下に、壁に天井に包まれたあの古い木造建築の家はないのだと実感し、息を吐く。あれから長い時間が流れている。

 私がお茶を口に含んだとき、木原君がリビングに入ってきた。

 母親は蛇口を捻り、食器棚からお茶碗を取り出す。木原君のごはんを入れるためだ。
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