約束
 白のシフォンワンピースに、花柄のシフォンワンピース。形の綺麗なAラインのワンピース、チュニックのワンピースに、少し暑いかなと思わなくもないニットワンピ。

 いろいろな洋服がクローゼットから引っ張り出されて、椅子の背もたれにかけられたり、ベッドの上に置かれている。置いたのは私なんだけどね。

「まだ決まらないの?」

 姉は呆れ顔で私を見ていた。木原君のデートに合う洋服をと思ったが、姉がデートに行くという話を聞き、自分の洋服を貸してくれると言い出したのだ。

 お姉ちゃんが可愛い洋服を結構持っているのは知っていたので楽しみにしていたが、顔半分程違う身長と体型の差をすっかり忘れていた。その中で私が着れそうなのはこの辺りだ。

「これが一番似合うんじゃない? 私はサイズがきつかったんだよね。もう着ないからあげるよ」

 彼女がそう言って取り出したのは花柄のシフォンワンピース。ワンピース全体にピンクの大きな花が描かれている。

「派手じゃないかな」

「お洒落したいのにそんなことを気にしてどうするの」

 姉はそれを私に押し付けると、クローゼットから白い箱を取り出した。それを私に渡す。

「これ、買ったんだけどいまいちサイズが合わなかったからワンピースとセットであげるよ。次の誕生日プレゼントね」

 その箱を開けると、ピンクのサンダルが入っていた。ピンクといってもほんのりとしたピンクで、白に近い感じだ。ワンピースが強いピンク色だからか、意外と調和しそうな気がする。その場で履いてみて、腰の辺りがもちあげられたような違和感がある。
< 226 / 546 >

この作品をシェア

pagetop