約束
「こんなヒールの高い靴を履いてこけないかな」
「大丈夫よ。これくらい慣れだって。ヒールがあるほうが足が長く見えていいんじゃない?」

 私もサンダルを持っているが、見た目だけならこのサンダルの方が合う気がする。
 私は姉から少し早い誕生日プレゼントをもらうことにした。


◇◇



 デートの日、リビングで待っていると、彼が暗い顔をしてやってきた。

「どうかしたの?」

「なんでもないよ。行こうか」

 彼の様子はどこかおかしかったが、そのとき彼が笑ってくれたので、あまり気にしないことにする。

 家を出ると明るいっ光が差し込んできた。

 その光にほっと胸を和ませながら、歩を進める。

「君なら、人からもらうとき、どういうものがほしい?」

「どういうものって?」

 まさか木原君が私に何かプレゼントをしてくれるというんだろうか。でも、誕生日はまだだし、それは考えられない。

 木原君からなら、何でも嬉しい。だが、偏った考えを省くために姉辺りを想像する。

「バックとか、洋服とか。ぬいぐるみとか、マグカップでも何でも。人からもらえるなら何でもうれしいよ」

 その言葉に木原君は顔を綻ばせていた。その爽やかな笑顔にドキッとする。

「君のそういうところってすごくいいね」

 その言葉にドキッとし、目をそらした。そのとき、道端にしきりに目をこすっている子の気づいた。私の関心はその子に移る。

 どうしたんだろう。

 木原君とのデートなので、他の人のことを気にするのはあまりよくないかもしれない。
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