約束
 家から少し離れた公園の前を通りかかったとき、名前を呼ばれる。顔をあげると、白いシャツに黒のスボンをはいた男の人の姿があった。彼は優しい笑顔を浮かべていた。

「今日は一人?」

 私は頷く。

「君にあいにきたんだけど、電話番号を知らなくて困ったよ」

「私に?」

 この前の話の続きなのだろうか。
 私は一馬さんに番号とメールアドレスを教えた。そして、彼の連絡先も教えてもらった。

「お姉ちゃんに聞けばよかったのに」

「そういえばそうだね」

 彼は苦笑いを浮かべ、携帯を鞄に入れる。

「この前、雅哉から聞いたよ。あのときのこと、覚えていたんだね」

「覚えていましたよ。でも、あの子達が一馬さん達だとは思わなくて驚きました。百合との付き合いもかなり長いんですね」

「もう十五年か。俺の祖父と、百合のばあちゃんが親しかったんだよ。で、そのつながりってわけ。昔話はこれくらいにして、どうせなら今日、パフェ食べに行かない?」

「行きます」
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